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【禁聞】専門家 南水北調プロジェクトのリスクを指摘

2013年11月24日

【新唐人2013年11月24日付ニュース】中国の南水北調プロジェクトが完成に近付くに伴い引き起こされた論争が、再び輿論の注目を集めています。総投資額5千億元(およそ6兆8千億円)、総工期が50年を超え、三峡ダムの姉妹プロジェクトと言われるこのプロジェクトは、当時プロジェクトを反対した専門家たちが警告した現象が、完成に近付くにつれ次々と表れ始めており、解決不能な問題まで出ています。これらの問題は、水を供給し始めてからさらに悪化し続け、挽回できない損失になると考えられています。

 

南水北調プロジェクトは、その名の通り南方の水を北方へ送るプロジェクトで、長江の上流、中流、下流からそれぞれ取水し、東線、西線、中央線の3ルートで北方地区へ供給します。この構想は、1952年の故毛沢東主席の“南方は水が多く、北方は水が少ない。可能であれば南方の水を借りればよい”という大胆な発想から来ています。それ以来、プロジェクトには激しい論争が伴いました。

 

反対派の専門家、学者達は南水北調プロジェクトは生態環境に巨大な破壊をもたらすと考えています。水系汚染の拡大、住血吸虫症(じゅうけつきゅうちゅうしょう)の北上、土壌のアルカリ化、河川水資源の不均衡、水生生物個体群の減少および絶滅など、不利な影響がプロジェクト着手後から現れ始めています。

 

水資源保護専門家 翁立達さん

「輸水後きっと長江に影響が現れるでしょう。供給側と需要側どちらにも影響があります。長江の水量が減少し、特に中央線は漢江の中下流に確実に影響を及ぼすでしょう」

 

四川省地鉱局区域地質調査隊エンジニア 範暁さん

「東線の主要な問題は汚染です。東線は淮河流域を通過するのですが、ここは水質汚染が最も深刻な区域です。この汚水が送られても、実際の使用は難しいでしょう」

 

政府側データによると南水北調の東線と中央線の沿線には多くのがん多発地区が存在し、プロジェクトにより、さらに多くの“がん村”が生み出されました。

 

今年6月2日、プロジェクトは山東省にある東平湖の八里湾ステーションにおいて通水試験を行ったところ、流れ込んだ大量の汚水により湖の魚が死滅し、漁民たちが甚大な被害をこうむりました。このような汚染された水が、2014年に北京や天津などの都市に全面的に流れ込むことになります。これについて、香港のアップルデイリーは、南水北調プロジェクトは世界最大の“発がんプロジェクト”になる可能性があると報じました。

 

この他にも専門家たちは、プロジェクトが地震などの自然災害を誘発し、沿線で生活する人々の生命や安全を脅かすと指摘しています。

 

劉素梅氏、徐礼華氏など多くの中国の地震専門家は地球物理学誌『Geophysical Journal International』上で、南水北調中線プロジェクトの水源地である丹江口ダムについて、ダムの水位が上がれば、マグニチュード4以上の地震を引き起こす可能性があると予測しています。

 

四川省地鉱局区域地質調査隊エンジニア 範暁さん

「水の輸送がまだ始まっていませんが、移民問題がすでに出現し、大量の移民の配置は難題です。しかもダム区移民の生活水準は下がります。この他にも中線沿線では地質災害が多く地震帯の一つです。地震は送水プロジェクトの安全性に影響する大きな問題なのです」

 

関連データによると、南水北調プロジェクトによって34万人の農業人口が移転させられ、数万ヘクタールの田畑が水底に沈みました。移転条件が良くないため、耕地を失った農民の生活は非常に苦しいそうです。河南省淅川県(せつせんけん)の移住した農民は、移民後、1人当たり3畝(ムー)、およそ300平方メートルの耕地と一軒当たり数部屋ある藁葺きの家を失った代わりに、毎年わずか60元の補助金と狭く雨漏りのする手抜き工事された移民用住居に食べ物も水も無く生活しているとネット上で訴えています。

 

南水北調プロジェクトにより供給される水のコストは1トン当たり10元、海水を淡水化するコストは1トン当たり4元前後と見積もられています。中国当局はなぜ、多くの専門家の強い反対を受けているにもかかわらず、頑なにプロジェクトを推し進めようとしているのでしょうか。

 

四川省地鉱局区域地質調査隊エンジニア 範暁さん

「政治色を帯びており、利益に駆られているからです。勿論内部の少数の特権階級です。例えばプロジェクトに関わる水利部傘下の一部大企業は、プロジェクトから多くの利益を得ることが可能で、着手されれば、国家の投資や借り入れが大量に来るのです」

 

南水北調プロジェクトの今後の長期にわたる効果と利益について、中国当局は全く考慮していないと範暁(はんぎょう)さんは指摘しています。

 

専門家たちは、当局は節水、汚染処理、再生水利用などの方法により、今の中国の水危機を乗り越えることが出来た筈であると指摘しています。南水北調プロジェクトのように“借金をして借金を返す”ような方法では、水不足の範囲を拡大するだけではなく、中国全土を永久的な水不足に陥らせるだけなのです。

 

新唐人テレビがお伝えしました。

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2013/11/20/atext1007895.html(中国語)

(翻訳/赤平 編集/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)

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